TCニューズレター(紙媒体&Web)2016年8月号を発行いたしました!(アライアンスも、人間関係と同じく、Give & Take!、セミナー、Webリニューアル!、他)

紙媒体でのニューズレター

『冨田賢の新規事業のための賢’s 情報Station』

の2016年8月号を発行いたしました!

 

巻頭特集:『企業間アライアンスも、人間関係と同じく、Give & Takeだ!                          

      ~相互補完数理モデルによるマッチング形成~


当社は、電子メールのメールレター(配信申込とバックナンバーはこちら!

に加え、

毎月1回、紙媒体で4ページのニューズレターを発行しております。

 

巻頭特集や、セミナー開催報告・開催情報、

冨田賢のWorking Space、TCからのお知らせを掲載しています。

 

★TCニューズレター2016年8月号のPDFは、こちら!TC_newsletter201608

※コンサルティング先企業様には、必要部数ずつ、印刷したものを、

 ご郵送させていただいております。

 

以下、JPEGの画像と、テキストデータも、掲載いたします。







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NewsLetter8月号

【巻頭特集】

企業間アライアンスも、人間関係と同じく、Give & Takeだ!

~相互補完数理モデルによるマッチング形成~

 

 

◯冨田賢の博士論文での相互補完数理モデル

 私は、この8年間、170社を超えるアライアンスのコンサルティングを行ってきており、アライアンスのマッチングの数理モデルを、このたび、慶應義塾大学からの博士(政策・メディア)の取得の論文としてまとめました。

 このアライアンスの数理モデルは、コンサルティングの実務で、私の頭の中で行っていることを、数学のモデルにした!という面があります。

 査読論文4本、つまり、冨田・武藤(2015、2016)及びTomita and Takefuji(2016a, 2016b)にて、資源ベース理論によるアライアンス研究のフレームワークを発展させ、そこに、コンピュータ・サイエンスの数学のモデル化の手法を用いて、初めてのアライアンス成立のメカニズムを表現する数理モデルを提案し、2社間の関係性を数値として演算可能としたわけです。

 提案した相互補完モデルでは、B社の強みがA社の弱みを補完し、A社の強みがB社の弱みを補完するとことが考え方のベースとなります。もし片方か両方の企業からの強みの提供が大きければ、相互補完関係(Mutually Complementary Relationship)が強くなり、逆に強みと弱みの相互補完が小さければ、2社間の相互補完関係は弱くなると考えます。

 今回は、このモデルにおけるギブ・アンド・テイク(Give & Take)の考え方について、解説したいと思います。なお、2016年6月25日に、日本経営会計学会にて、学会発表した内容を中心としております。

 

 

!博士論文などは、Webに掲載しています!

 

冨田賢の学術研究

 

●冨田賢・武藤佳恭(2015)「アライアンスの相互補完数理モデルの構築と実証分析 ~152社のコンサルティング先企業データを用いて」、経営会計研究 第20巻第1号

●冨田賢・武藤佳恭(2016) 「アライアンスの相互補完・加算・相乗に関する数理モデルの提案とPython言語による実証~152社の企業データをもとに」、ビジネスクリエーター研究第7号

●Tomita, Satoshi and Yoshiyasu Takefuji(2016)”A New Mathematical Model of Mutually Complementary for Corporate Alliances : Selection of Optimal Partners using Eight Characteristics,” Proceedings (HI092415299, double-blind review) of 2016 Hawaii Global Conference on Business and Finance (GCBF)

●Tomita, Satoshi and Yoshiyasu Takefuji(2016), “A Mathematical Model for Optimal Corporate Alliances : Evidence from Japan,” International Journal of Management and Marketing Research(IJMMR), Volume 9, Number 1, 2016.

●2016年1月のハワイでの国際学会でのアワード受賞の写真なども、掲載しています!

 

★ 博士号取得は、2016年6月承認、同年9月授与となります。

 

 

 モデル構築における理論フレームワークとしては、経営学における資源ベース理論を応用させているわけですが、当初、物理学における磁力の引き合う力を示すスピングラス・モデルを参考にしました。ただし、それだけでは、2社間の引き合う力とアライアンスが成立しやすい状況についての説明付けが十分でなかったため、物理学のフローの概念と、人間関係におけるギブ・アンド・テイクの社会的交換理論の考え方を取り入れて、アライアンスの相互補完数理モデルの理論的な説明付けを補強しました。

 

 

◯人間関係におけるGive & Takeに関する先行研究

 人間関係に関する研究では、Schaufeli(2006) “The Balance of Give and Take : Toward Social Exchange Model of Burnout, Revue Internationale de Psychologie Sociale, Vol 19(1), Mar 2006, 87-131 がとても参考になりました。

 この論文では、8000人以上の専門家(教師、医者、看護師、警察官、警護官、ソーシャルワーカー)や精神障害労働者、囚人等に調査し、人間関係や人と企業の関係において、ギブ・アンド・テイクのバランスが崩れると、バーンアウトを引き起こすことが示されています。皆さんも、普段の生活の中で、それは、イメージできますよね!2者間の関係性において、バランスが大きく崩れていたり、あるいは、ミスマッチが起こったりしている場合には、ギブ・アンド・テイクのバランスが崩れていることとなります。また、ある集団と他の集団にとって、偏ったいびつな不均衡な状態となっていると、関係性が崩壊し、バーンアウトしてしまうこととなります。この論文では、報酬とコストのギャップが大きくなりすぎて、インバランスとなってしまうと、バーンアウトが引き起こされると説明されています。

 

◯企業間アライアンスも同じく、Give and Take

 企業と企業のアライアンスの形成においても、どちらかからだけのGive、Give、Giveで、相手がTake、Take、Takeだと、バランスが崩れて、バーンアウトしてしまいます。つまり、GiveとTakeのバランスが保たれていること、専門的な用語で説明すれば、フロー・バランス(Flow Balance)が保たれていることが大切となります。

 また、Give とTakeの度合いが大きいこと、これも、専門的な用語で説明すれば、フロー・インテンシティ(Flow Intensity)がより強いほうが、双方にとってのメリットが大きくなります。

 このように、アライアンスのモデル構築において、フロー・バランス(Flow Balance)とフロー・インテンシティ(Flow Intensity)という2つの概念を追加的に導入すると、フロー・バランス(Flow Balance)が保たれている時で、フロー・インテンシティ(Flow Intensity)がより強い時に、アライアンスは成立しやすいと説明できます。

 

 

◯8つの特徴付けで、5段階評価の場合のプラスとマイナスのベクトル

 このたびの私の研究では、企業の強みと弱みを8つの特徴数で、5段階の評点付け(5が一番良い評価)で、私の2008年5月〜2015年3月までの152社のコンサルティング先企業を評点付けしました。ちなみに、ここでは、なぜ、8つの特徴を選んだかについての説明は割愛しますが(論文には記載しています)、私のモデルはフレキシブルなモデルのため、特徴の数はいくつであっても設定可能です

 

 プラスのベクトルは、A社からB社への強みの提供、つまり、ギブ(Give)を示し、マイナスのベクトルは、A社がB社に提供してもらっている強み(弱みの補完)、つまり、テイク(Take)を示しています。0は、A社とB社の強みと弱みが同じで、A社からB社も、B社からA社も、強みの提供(Give)も獲得(Take)もなく、フロー・インテンシティがないことを表しています。

 フロー・インテンシティの概念で説明すれば、相互補完強度が強い時、つまり、ギブ(Give)とテイク(Take)のやり取りが大きい時、フロー・インテンシティが強くなっていると言い、反対に、相互補完強度が弱い時、フロー・インテンシティが弱いと言います。

 プラスとマイナスの2極のベクトルが存在する時、ギブとテイクが双方向にあり、双方の関係のバランスが取れており、フロー・バランスが保たれている状態となり、アライアンスも成立しやすいと考えられます。

 

 

◯アライアンスが成立しないパターン

 では、アライアンスが成立しないパターンは、どのようなものでしょうか?

 大きく分けて、2つあります。

 

 フロー・バランスが保たれておらず、一方的な関係性の時は、アライアンスは成り立たないこととなります。すなわち、A社のそれぞれの特徴におけるスコアがすべて、B社のそれぞれの特徴におけるスコアよりも大きい状態では、A社はB社に対して、資源・メリットを一方的に提供するだけとなり、バランスが保たれていない。言い換えれば、A社からB社へのプラスの2極のベクトルが、一方的(ワンサイド)となっています。B社からA社へのアピール、強みの提供(Give)が何もない状態であり、これが、アライアンスは成功しないパターン1となります。

 

 A社とB社のスコアが、すべて同じ状況の場合は、それぞれの企業にとって、相互補完の恩恵が何もない状況となります。そのような状態の時も、アライアンスは成立しない。すなわち、A社とB社の強みと弱みが、すべての特徴において全く同じ場合には、フロー・インテンシティがゼロとなり、アライアンスが成立しないパターン2となります。

 

 

◯最大の相互補完関係の状態は、どういう時か?

 では、最大の相互補完関係は、どのような状況かを考えると、最大のFlow Intensityで、Flow Balanceが均衡している状態となります。

 それは、特徴数の半分の数で、双方向で、最大の大きさの2極のベクトルが存在する時です。

 

 ここでは、紙面の関係で、割愛しますが、2社間のアライアンスの相互補完関係は、2次元のマップ上の点で示すことができ、相互補完数理モデルでは、その最大の相互補完関係を示す点(「マキシマム・ポイント」と名付けた)との距離で、相互補完強度を数学表現します。

 

 

◯オープン・イノベーションの文脈での捉え方

 Chesbrough, Henry(2003)“Open Innovation”, Harvard Business School Pressから始まったオープン・イノベーションの研究において、企業間のGive and Takeが重要であるとの主張がなされています。

 Gassmann, Oliver and Ellen Enkel(2004) “Towards a Theory of Open Innovation: Three Core Process Archetypes,” conference paper, R and D Management Conference (RADMA) (Lisabon, Portugal), 6-7 2004, double-blind reviewでは、124社の企業データを用いた実証研究がなされており、オープン・イノベーションの成功のために、Give and Takeが極めて重要であることを示す3つのコア・プロセス・アーキタイプを提示しています。

 私のアライアンスの相互補完数理モデルは、オープン・イノベーションの推進における「探索コスト」の低減につながるもので、実務的にも、有用です。このように、アライアンスの数理モデルによる係数の演算は、オープン・イノベーションの文脈での捉えることもできます。

 

 

◯アライアンスの数理モデル研究はまだまだこれから!

 私のアライアンスのマッチングを数学表現するモデル構築は、まだまだこれから、研究を発展させて、より現実に近い形へと進化させていく必要があります。

 ただし、基本となる考え方としては、このたび、ここで解説させていただいた相互補完関係が強い時にアライアンスは成立しやすい、すなわち、フロー・インテンシティが強く、フロー・バランスが保たれている時が、アライアンスの成立に適した状態であるということを、皆さんの頭に置いていただけたらと思います。

 これは、皆さんが、実務的にアライアンス先企業を選定する意思決定の際の考え方の背景となります。

 やや抽象的で、わかりにくい面もあったかもしれませんが、これからも、アライアンスの数理モデル研究に取り組んでまいりたいと考えております。(このニューズレターで掲載した内容は、昨年、米国の学会発表用に書いた論文を改良し、日本の学会誌に、再度、未発表部分について、査読論文として投稿しております。)

 

 

【セミナー開催報告】

◎2016年6月29日(水) 14:00〜17:00

IoT時代の新規事業立ち上げ戦略〜アライアンス活用で、新しい収益を作る!〜

主催:新社会システム総合研究所

https://www.cvcjapan.com/wp/archives/7751

 大企業の新規事業部門や経営戦略部門の方々を中心に(東証1部上場企業の役員クラスの方にも数名含む)、約40名の方に、御参加いただきました。

①   新規事業立ち上げ + ②IoT + ③アライアンス を、3つのキーとして、お話させていただきました!

<参加者の声>

●事業企画のヒントになる事柄が多くあり、役だった。具体的な経験談 もふまえ、わかりやすい説明をありがとうございました。

●新規事業におけるアライアンスの重要性への理解が深まった。

●明快でわかりやすく、三時間が早く感じる講演だった。

●現段階で取り組んでいるIoTサービス化に向けた実証やアライアン スについて、さらに進めていくべきこと、見直すべきところを精査す るのに参考になった。

●メッセージが非常に明瞭でよかった。営業チラシを作ってみるのが 早いという着眼点は使っていきたい。

●著書を購入させていただきました。参考にして事業企画を推進したい。

●自社でできていない事ばかりだった。大変ためになった。

●撤収条件の必要性は社内でも取り組んでいきた。

●向上していくべきかなど、これからの良いヒントになりました。

●新規事業の立ち上げの考え方、アライアンスなど参考になりました。

●新規事業の参考になりました。

●普段一人で考えていることと、外部の視点との整合性を確認でき たことがよかったです。

●IoTにおいて人工知能の必要性が理解できました。

●アンサンブル学習にとても興味を持ちました。

●幅広い知見をお持ちで関心いたしました。

●勢いのある話は大変面白かったです。ありがとうございました。

●新規事業(ドメイン)からの全体推進の考え方が体系だってわかり やすい内容でした。

●最近キックオフした社内の新規開発、マーケティングなどへ、さっ そく展開したい。

●話が聞きやすく大変勉強になりました。

●今後の課題である、新規事業に対して取り組む一歩を踏み出せそ うです。

●IoTを用いた事業化において、アライアンスの有効性を再認識できた。

●新規事業について体系的に学べた。

●アライアンスの有効性について学んだ。

●全体的に分かりやすかった。

●アライアンスの重要性、強味を持つこと、ニーズの探索の重要性を学 べた。

●新規事業立ち上げ時のポイント、考え方について学ばせていただき ました。当社にて活用させていただきます。

●新規事業立ち上げにおいて大事なことは何かを、先生の講義を聞き ながら、自分なりに整理できました。

●新規事業の立ち上げの考え方が整理できた。

●最初に全体的なお話がありわかりやすかった。

●経験に基づいた話で分かりやすかった。

●説明の観点が現場に近く「なるほど」と再確認することが多かった。

 

 

◎  2016年7月14日(木) 17:00~20:00

会社立ち上げから学んだ生き抜く力〜ひ弱なエリートはもういらない〜

主催:インターナップジャパン株式会社

https://www.cvcjapan.com/wp/archives/7677

 当社コンサルティング先企業のインターナップジャパン株式会社(NTTグループと米国NASDAQ上場企業の合弁会社)さんの主催で、2ヶ月に1回、行っているセミナー、これまでは、IoT(Internet of Things)や人工知能(AI)、フィンテック(FinTech)、オープン・イノベーションの基礎理論などをテーマに行ってまいりましたが、このたびは、趣向を変えた内容での開催となりました!

 冨田賢は、第1部で、『会社立ち上げから学んだ生き抜く力 ~ひ弱なエリートはもういらない~』と題して、講演させていただきました!約40名の方々に、熱心に御参加いただきました。

 第2部は、インターナップジャパン株式会社の奧野CEOが講演されました。独自の理論で、米国企業とNTTとの合弁会社の立ち上げのご経験を踏まえて、お話されました。日米の営業についての考え方の違い、”優秀WAY”と、”インターナップWAY”の比較、とても面白い内容でした!恒例の懇親会も、盛り上がりました!おいしいお寿司が出ました!

<参加者の声>

●いつも面白いお話で、元気が出ます。

●成果を上げるサイクルに感心しました。モチベーションを上げるきっかけを持つ意識を大切にします。

●正しい努力をしなければ意味がない。

●仕事に努力賞はないということに共感できました。結果を残さないと意味がないと思います。

●面白くて大変勉強になりました。

●キャリアを知れて良かったです。

●結果を出している方から「決断・腹のくくり」が重要と言われると、改めてそう感じました。

●新規立ち上げ時の想いについては理解できたし、しっかり考えたいと思う。

●スケールの大きな経験談に刺激を受けました。

●「ビジネスも研究も進め方は同じ!」という言葉は非常に重みがありました。

●息子が聞いてちょうど良い内容が含まれていました。本当に感謝いたします。

●元気づけられました。

●「決断をすると強くなる」というのはその通りだと思い、決断せねばという思いが強くなりました。

●自らの経歴と経験をベースにされた、非常に分かり易いお話でした。これから是非参考にさせていただきます。

●とても刺激的な内容でした。研究と事業は似ているというのに同意です。

 

 

【ティーシーコンサルティングのWebのトップページをリニューアル!】

当社のWebサイト▼ https://www.cvcjapan.com/wpのトップ画像を新しくリニューアルして、5つのスライドで、当社のことをご紹介させていただいています。

「とみた さとし」検索!で出てきますので、是非、ご覧ください♪

 
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冨田 賢

Satoshi Tomita, Ph.D.

CVC JAPAN株式会社 
代表取締役社長

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